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MOFOR機能を用いた造波装置の構築

Dr. R. P. Hornby

2015年8月1日にはウェールズ政府が総額450万ポンドを拠出して(総コストが1500万ポンド)、世界で初めての内陸サーフラグーンがウェールズのDolgarrogでオープンした。この施設には毎年75,000人が集まり、世界最高のサーファーを対象とした国際サーフィンイベントが開催される予定である。

サーフパークは、長さ300m、幅110mのラグーンで最高2mの高さのパワフルで安定した波を作り出す、ユニークな造波技術を採用している。

「スノープラウ」形状の水中制波板(ホイル)は、湖の距離にわたる桟橋の下に配置され(図1)、中央の水中軌道に沿って引かれ、約20秒のサーフィン時間を作るホイルの両側にバレルリング波を生成する(図2)。


Figure 1. Detail of the wave generating mechanism.

スチール網は、安全上の理由から、近くのサーファーからホイルを隔離し、境界では波を減衰させるための多孔質グリッドシートとしても機能する。

制波板設計およびラグーン輪郭の詳細は機密であり、何年にも渡って開発されてきた。ここでは、このような研究にPHOENICSの自由表面モデル(SEM、Scalar Equation Method)および移動体機能(MOFOR)を利用することが適切であることを示す。


Figure 2. Surfing waves generated either side of the surf lagoon pier.

PHOENICSモデリング

サーフラグーンは長さ50m×幅30mの半断面を計算した。最大水深を2mとし、解析領域の遠端では深さを1mにして、4mのエアギャップを水上で使用した。

解析領域全体は、それぞれx(横)方向に55分割、y(縦)方向130分割、z(深さ)方向に30分割にし、デカルト格子を用いて離散化した。波の崩壊プロセスの詳細を把握するためには、細かいメッシュを使用する必要があるが、今回のメッシュ数は、このモデリング手法の実行可能性を評価するのに十分と考えられる。

モデリングは移動体を使用するため(少なくとも物体の進む方向に)不均一なメッシュを用いてもはっきりした利点はない。そのため各座標方向一様なメッシュを使用した。 底部境界に平滑な壁摩擦が加えられた層流と仮定し、上の境界は圧力一定の境界とした。

ホイルは、高さが4m、幅が3mの断面を持つくさび形と仮定する。波箔の傾斜した背面は、水がコントロールされた形で箔の上を流れることを保証する(図3)。波箔の速度は、ほぼ横波であることを保証するために、最大波速度よりもわずかに大きい。波箔の運動は、Q1ファイルの以下の説明文によって有効になる。計算では速度一定で、y軸に沿ったGVに等しく設定したが、時間(TIM)関数として設定することもできる。

PATCH(MOFOR,VOLUME,1,1,1,1,1,1,1,LSTEP)
SPEDAT(SET,MOFOR,MOFFILE,C,NOTSET)
(MOVOBJ OF B1 IS POS
(0.0,GV*TIM,0,0,0,0))
ただし、B1はVRエディタで設定したくさび形オブジェクト(上記のホイル)である。


Figure 3. The wedge object representing the wave foil shown positioned in the simulation domain (with sloping bottom).

水/空気界面を追跡し、界面破壊を許すSEMを使用した。この方法は、波の伝播に関する別の研究で用いられ、良好な結果が得られている(参考文献1)。

これは陽解法であるため、時間刻みは「クーラン数<1.0」の条件を満たす必要がある。
今回の計算では、時間刻みを0.02秒とし、計10秒の計算を実施した。
この設定は、モデリングの波発生能力を最初に評価するのに十分である。しかも波形発生プロセスのさらに調べるための拡張がようである。(例えば、メッシュを増やす)

結果

図4は、1.8秒後に2mを超える高さの波がホイルで形成されることを示している。SEMは、ホイル上の流れおよび後部の斜流をうまく捉えている。


Figure 4. Density distribution in a vertical plane at the wave foil showing the formation of a 2m high wave after 1.8s.

図5は、6.9秒後のサーフラグーンにおける波高(GWHT、単位メートル)を示す。波は、図2の波のようにむしろホイルから扇状に広がるように見え、波の高さはホイルからの距離と共に減少する。

しかし、現在のメッシュがこのプロセスを捕捉するのに十分ではないため、波の崩壊のシナリオを予測するためのパラメータ改良の試みは行われていない。

あらゆる波破砕プロセスの平滑化が、その証拠である。


Figure 5. Wave heights (m) after 6.9s.

結論

SEMと組み合わせたPHOENICS MOVOBJは、造波装置を調べるための柔軟なツールになる。

SEMは陽解法であるが、20ぐらいのサーフィンの予測に適している。崩壊に近い波プロファイルを予測するにはメッシュを増やすことが必要である。

MOVOBJ法は、表面波の形成を調べるために波箔の形状および速度を容易に変更できるが、必ず運動方向で均一なメッシュを使用する(計算時間の上で、不利)必要がある。

参考文献
1. PHOENICS modelling of 3-D flow over a surf reef and comparison with experiment. PHOENICS Newsletter, Winter 2012.

 
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